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2024年11月28日木曜日

海外在住者が三為契約で日本の不動産を売却した経験

 あまり聞き慣れない「三為契約(さんためけいやく)」について、経験した目線で書こうと思います。

「三為契約」の言葉の意味を調べればネット上に丁寧に解説されたものが多く出てきますが、実際にその方法で自分の不動産を売った側の経験から思ったことを書いていきます。

三為契約は私の場合は実際にこのような形で行われました。

私が所有している不動産を買いたいと言ってくるのは不動産屋Bです。

ところが不動産屋Bは私の不動産(マンションの一室)をリフォームして更に高値を付けて別の人に販売します。

私はその不動産屋Bが見つけてきた購入者と直接売買契約を交わすことになります。

それによって不動産屋Bは販売利益を得るだけでなく節税対策もできることになります。

ただし、期限までに購入者を見つけられない場合は販売利益と節税メリットを受けることなく私から買い取らなければならないというリスクがあります。

簡単に言うと、三為契約は不動産屋Bのメリット(販売利益と節税)のために行われる不動産売買の契約形式といっていいのではないかと思います。

私や購入者、不動産屋Aにはなんのメリットもありません。

メリットがあるとすれば、売却後の不動産物件の不具合の対応を私はしなくても済むということくらい。

これはあくまで実際に売った私側の意見です。


実際の売買契約書とスケージュール

私は、不動産屋Aから「売買契約は私と不動産屋Bが見つけてきた購入者と直接交わすことになる」と聞いていました。

ところが、実際に8月に交わした売買契約書は私と不動産屋Aと不動産屋Bの名前が書かれた契約書でした。

8月にそのような売買契約を交わし、不動産屋Bはその契約を交わした後3ヶ月間のあいだにリフォームと購入者探しをします。

私はその間、期限までいつ決まるかわからない購入者を待ちます。

私の場合、海外在住で日本領事館へ出向いて必要書類を揃えなくてはならない上に、日本への渡航予定が決まっていたため、なるべく早く準備を整えたかったのですが、不動産屋からは購入者が決まらないと書類の準備ができないと言われ、当初かなり焦りました。

(↑こんな感じのスケジュールでした)

日本領事館の予約(在留証明や署名証明のための)はかなり前(一ヶ月くらい前)から入れておかないと取りづらいという状況でした。

購入者が決まらないと書類の準備ができないと言われていた書類はどんなものかというと、購入者名を記入する必要のある書類だったのですが、結局、諸事情により購入者名は未記入のまま日本領事館に書類を持っていくことになったのです。

念の為、「諸事情により購入者名(登記原因証明情報の権利者の部分)は空欄のままですが〜」と書かれた司法書士からのメールの文面をプリントして領事館へ持って行きました。

領事館では未記入の部分にはふれられず無事にすべての必要書類をそろえることができました。

不動産屋Aが言った「私と購入者(不動産屋Bが見つけてくる購入者)が直接契約を交わすことになる」、の真意は売買契約書のことではなく、司法書士が用意する“所有権移転の委任状”と“登記原因証明情報”に書く必要のある“権利者”欄の氏名のことを指していたのだと後になって気づきました。


「公証役場」という存在

さらに、あとで調べてわかったことなのですが、在留証明があれば署名証明は日本でも公証役場へ行けば入手できるということもわかりました。

(電話で公証役場に問い合わせたところ、在留証明の他にパスポート、免許証も必要と言われました。)

私はそのことを当初知らずに、かなり焦って不動産屋に「早く書類が必要です、直接司法書士と話させてください」という手荒な要求をしてしまったのですが、あとから考えると先に領事館で在留証明だけを入手しておいて、日本に到着後に公証役場で署名証明を取得することも可能でした。

はじめから公証役場の存在を知っていれば焦ることもなかったはず。

公証役場は日本全国にあるので、海外在住者で日本で署名証明が必要になったときは事前に必要な書類を確認の上でご利用ください。


海外在住者が三為契約をすると…

このようなヤキモキする切羽詰まった心境にもならざるをえなかったので、三為契約にはあまり良い印象を持っていません。

とはいえ、三為契約によって3ヶ月先にはなるものの自分の売却したい物件を購入してくれるという業者がわりとすぐに現れてくれたのはラッキーだったのかもしれません。

私の場合はたまたま引き渡しの時期に日本渡航の予定ができてしまったのでこんなバタバタになってしまいました。

それによって銀行関係書類(住宅ローン繰り上げ返済依頼書や司法書士の委任状)のやりとりはスピーディーにできたという良い点はありました。

もし、日本にいなくて海外で銀行関係の書類をやりとりしなくていけなかったとしたら、かなり時間に余裕をもって準備をしなくてはいけなかったと思います。

私が住宅ローンを組んでいた銀行は、郵送物は日本国内の住所にしか送ってくれなかったので、ローンの返済予定などが書かれた手紙類は日本の実家からアメリカへ送ってもらっていました。
なので、今回の繰り上げ返済のときも同様に、日本の実家を通してでしか書類のやりとりはできなかったので、このタイミングで日本へ一時帰国していたのは偶然だったとはいえ良かったです。

もし、これから海外在住で日本の不動産を売却するという方がいましたら、参考までに前回の私のブログ「海外在住者が日本の不動産を売却した経験について」も御覧ください。


2024年11月27日水曜日

海外在住者が日本の不動産を売却した経験について

 無知で無能なまったくの素人の海外在住者が日本で所有している不動産を売却するために必要な手続きを実体験に基づいて紹介しようと思います。

私はこの11月に30歳頃に日本で購入した不動産(マンションの一室)を売却しました。

所有していたのは2008年から今年2024年の約16年間。

売却がこんなにも大変だったなんてとつくづく思ったので苦労したことと、必要だった書類などを紹介します。

1)海外在住者が日本の不動産を売却するときに知っておくべき知識

まず私を苦しめたのは源泉徴収税です。

まったく無知だった私は不動産屋から売却の見積もりをとったときに提示された金額を見て、

「これなら住宅ローンを完済できるから売ろう」と即決しました。

ところが、そのあとで海外在住者には源泉徴収税が10.21%も課税されて受け取れる金額は売却金額の89.79%だけという事実を知ります。

そうすると私の場合、ほぼプラスマイナスゼロくらいになりました。まったく青天の霹靂の心境でした。無知だった私が悪いのですが。。。


2)必要書類

これは人によって違うかもしれませんが、私が必要だった書類を紹介します。

  • 登記識別情報通知(購入時に入手するものです)
  • 建設住宅性能評価書(購入時に入手するものです)
  • 設計住宅性能評価書(購入時に入手するものです)
  • 区分所有者変更届(不動産屋が用意してくれました) 

この4つは事前にアメリカから日本の不動産屋へUSPSからPriority Mail Internationalで送付しました(送料は45ドル近くかかって高かったです)。

このほかに

  • (売却する年の)固定資産税課税明細書

これは毎年送られてくるものなのですが、私はアメリカ国内で住所変更したときに市税事務所の方に住所変更の連絡をしていなかったので受け取れておらず、持っていなかったのですが、不動産屋の方で代わりに入手してもらうことができました。

そしてさらに司法書士の方ともやりとりをしなければなりません。司法書士は不動産屋から紹介していただきました。司法書士の方に用意してもうらう書類には署名証明と在留証明が必要になるので、日本領事館に行かなければなりません。以下の書類を用意する必要がありました。

  • 在留証明書(提出先は法務局と記入しました)
  • 住所移転についての上申書(アメリカ国内での住所変更を法務局に届け出ていなかったので必要でした)
  • 住所変更登記の委任状
  • 抵当権抹消登記の委任状
  • 所有権移転登記の委任状
  • 登記原因証明情報
  • 国内連絡先がない旨の上申書(令和6年4月からの制度変更のために必要になったそうです)

上記の在留証明書以外の上申書と委任状は司法書士の方が用意してくれる書類なのですが、これらにはすべて署名証明が必要でした。

領事館へ予約を入れて入手してきました。全部で81ドルかかりました。大きな出費でした。


署名証明は、それぞれの書類と二枚重ねになっていて、左上を糊で止められています。

そのめくった部分に領事館の印鑑が押されています。これを「割印」と表現するようです。

1枚目のそれぞれの書類には拇印が2箇所押すところがあります。これも領事館の窓口で行います。






さらに売却前に必要だったのは銀行関係書類です。

  • 繰り上げ返済依頼書
  • 委任状(司法書士名を書きます)

ここでは銀行登録印が必要でした。

ここでも落とし穴がありました。これらの書類は銀行が用意してくれるのですが、アメリカ国内で引っ越しをしたときに住所変更を銀行に届け出ていなかったので、現在の住所と銀行が把握している私の住所に相違がありました。

銀行は繰り上げ返済依頼書の記入の仕方として記入例を用意してくれてありました。その記入例には私がアメリカに引っ越した当初のカリフォルニアの住所が記載されてありましたが、私は現在の自分の住所を書いて送ったところ、カリフォルニアの古い住所を書かなければいけないと言われ、再度修正して送り直さなければなりませんでした。

委任状も同様で古い住所を書く必要があり修正して再度送り直しました。

これらの書類のやり取りは海外在住だと日本と郵送でのやりとりが発生してくるので時間のかかる作業になります。


3)帰国の必要があるのか?

不動産屋からは帰国の必要はありませんと言われていました。実際に必要なかったと思います。

ところが、私の場合、全然帰国するつもりはなかったのですが、夫の突発的な発案によって(全然この売却とは関係なく)日本に行くことなりました。なんという偶然なのでしょう!

結果、帰国していて良かったということがありました。

まず、銀行の書類は住宅ローン完済予定日の10日前くらいに実家の方へ届きました。(銀行は国内の住所へしか郵送物を送ってくれません)

先程も書きましたが、私がアメリカ国内での住所変更を銀行に届け出ていなかったために住所の相違があり、書類を修正して再送する必要があったため、急いで(完済予定日の2日前までに銀行に到着しなければならなかったので)レターパックを使って送り直したという経緯があったので、帰国していて良かったということになります。

当初の予定では、私の印鑑(銀行登録印)を実家へ送付して、実家の父に繰り上げ返済依頼書と委任状を代筆してもらう予定でしたが、銀行が代筆をNGとしたためそれはできませんでした。それも帰国していて良かった点です。

偶然が重なり結果、帰国していて良かったことになります。

帰国はしていたものの、完済の立会などには行っておらず実際には不動産屋にも司法書士にも銀行にも行っておらず誰とも顔を合わさずに電話とメールのやりとりだけで売却を済ませることができました。

電話でのやりとりも必要だったのでやはり帰国していて良かったと思います。


次回は「三為(さんため)契約」について書こうと思います。