あまり聞き慣れない「三為契約(さんためけいやく)」について、経験した目線で書こうと思います。
「三為契約」の言葉の意味を調べればネット上に丁寧に解説されたものが多く出てきますが、実際にその方法で自分の不動産を売った側の経験から思ったことを書いていきます。
三為契約は私の場合は実際にこのような形で行われました。
私が所有している不動産を買いたいと言ってくるのは不動産屋Bです。ところが不動産屋Bは私の不動産(マンションの一室)をリフォームして更に高値を付けて別の人に販売します。
私はその不動産屋Bが見つけてきた購入者と直接売買契約を交わすことになります。
それによって不動産屋Bは販売利益を得るだけでなく節税対策もできることになります。
ただし、期限までに購入者を見つけられない場合は販売利益と節税メリットを受けることなく私から買い取らなければならないというリスクがあります。
簡単に言うと、三為契約は不動産屋Bのメリット(販売利益と節税)のために行われる不動産売買の契約形式といっていいのではないかと思います。
私や購入者、不動産屋Aにはなんのメリットもありません。
メリットがあるとすれば、売却後の不動産物件の不具合の対応を私はしなくても済むということくらい。
これはあくまで実際に売った私側の意見です。
実際の感想
私は、不動産屋Aから「売買契約は私と不動産屋Bが見つけてきた購入者と直接交わすことになる」と聞いていました。
ところが、実際に8月に交わした売買契約書は私と不動産屋Aと不動産屋Bの名前が書かれた契約書でした。
8月にそのような売買契約を交わし、不動産屋Bはその契約を交わした後3ヶ月間のあいだにリフォームと購入者探しをします。
私はその間、期限までいつ決まるかわからない購入者を待ちます。
私の場合、海外在住で日本領事館へ出向いて必要書類を揃えなくてはならない上に、日本への渡航予定が決まっていたため、なるべく早く準備を整えたかったのですが、不動産屋からは購入者が決まらないと書類の準備ができないと言われ、当初かなり焦りました。
(↑こんな感じのスケジュールでした)
日本領事館の予約(在留証明や署名証明のための)はかなり前(一ヶ月くらい前)から入れておかないと取りづらいという状況でした。
購入者が決まらないと書類の準備ができないと言われていた書類はどんなものかというと、購入者名を記入する必要のある書類だったのですが、結局、諸事情により購入者名は未記入のまま日本領事館に書類を持っていくことになったのです。
念の為、「諸事情により購入者名(登記原因証明情報の権利者の部分)は空欄のままですが〜」と書かれた司法書士からのメールの文面をプリントして領事館へ持って行きました。
領事館では未記入の部分にはふれられず無事にすべての必要書類をそろえることができました。
「公証役場」という存在
さらに、あとで調べてわかったことなのですが、在留証明があれば署名証明は日本でも公証役場へ行けば入手できるということもわかりました。
(電話で公証役場に問い合わせたところ、在留証明の他にパスポート、免許証も必要と言われました。)
私はそのことを当初知らずに、かなり焦って不動産屋に「早く書類が必要です、直接司法書士と話させてください」という手荒な要求をしてしまったのですが、あとから考えると先に領事館で在留証明だけを入手しておいて、日本に到着後に公証役場で署名証明を取得することも可能でした。
はじめから公証役場の存在を知っていれば焦ることもなかったはず。
公証役場は日本全国にあるので、海外在住者で日本で署名証明が必要になったときは事前に必要な書類を確認の上でご利用ください。
海外在住者が三為契約をすると…
このようなヤキモキする切羽詰まった心境にもならざるをえなかったので、三為契約にはあまり良い印象を持っていません。
とはいえ、三為契約によって3ヶ月先にはなるものの自分の売却したいう物件を購入してくれるという業者がわりとすぐに現れてくれたのはラッキーだったのかもしれません。
私の場合はたまたま引き渡しの時期に日本渡航の予定ができてしまったのでこんなバタバタになってしまいました。
それによって銀行関係書類(住宅ローン繰り上げ返済依頼書や司法書士の委任状)のやりとりはスピーディーにできたという良い点はありました。
もし、日本にいなくて海外で銀行関係の書類をやりとりしなくていけなかったとしたら、かなり時間に余裕をもって準備をしなくてはいけなかったと思います。
私が住宅ローンを組んでいた銀行は、郵送物は日本国内の住所にしか送ってくれなかったので、ローンの返済予定などが書かれた手紙類は日本の実家からアメリカへ送ってもらっていました。
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