無知で無能なまったくの素人の海外在住者が日本で所有している不動産を売却するために必要な手続きを実体験に基づいて紹介しようと思います。
私はこの11月に30歳頃に日本で購入した不動産(マンションの一室)を売却しました。
所有していたのは2008年から今年2024年の約16年間。
売却がこんなにも大変だったなんてとつくづく思ったので苦労したことと、必要だった書類などを紹介します。
1)海外在住者が日本の不動産を売却するときに知っておくべき知識
まず私を苦しめたのは源泉徴収税です。
まったく無知だった私は不動産屋から売却の見積もりをとったときに提示された金額を見て、
「これなら住宅ローンを完済できるから売ろう」と即決しました。
ところが、そのあとで海外在住者には源泉徴収税が10.21%も課税されて受け取れる金額は売却金額の89.79%だけという事実を知ります。
そうすると私の場合、ほぼプラスマイナスゼロくらいになりました。まったく青天の霹靂の心境でした。無知だった私が悪いのですが。。。
2)必要書類
これは人によって違うかもしれませんが、私が必要だった書類を紹介します。
- 登記識別情報通知(購入時に入手するものです)
- 建設住宅性能評価書(購入時に入手するものです)
- 設計住宅性能評価書(購入時に入手するものです)
- 区分所有者変更届(不動産屋が用意してくれました)
この4つは事前にアメリカから日本の不動産屋へUSPSからPriority Mail Internationalで送付しました(送料は45ドル近くかかって高かったです)。
このほかに
- (売却する年の)固定資産税課税明細書
これは毎年送られてくるものなのですが、私はアメリカ国内で住所変更したときに市税事務所の方に住所変更の連絡をしていなかったので受け取れておらず、持っていなかったのですが、不動産屋の方で代わりに入手してもらうことができました。
そしてさらに司法書士の方ともやりとりをしなければなりません。司法書士は不動産屋から紹介していただきました。司法書士の方に用意してもうらう書類には署名証明と在留証明が必要になるので、日本領事館に行かなければなりません。以下の書類を用意する必要がありました。
- 在留証明書(提出先は法務局と記入しました)
- 住所移転についての上申書(アメリカ国内での住所変更を法務局に届け出ていなかったので必要でした)
- 住所変更登記の委任状
- 抵当権抹消登記の委任状
- 所有権移転登記の委任状
- 登記原因証明情報
- 国内連絡先がない旨の上申書(令和6年4月からの制度変更のために必要になったそうです)
上記の在留証明書以外の上申書と委任状は司法書士の方が用意してくれる書類なのですが、これらにはすべて署名証明が必要でした。
領事館へ予約を入れて入手してきました。全部で81ドルかかりました。大きな出費でした。
さらに売却前に必要だったのは銀行関係書類です。
- 繰り上げ返済依頼書
- 委任状(司法書士名を書きます)
ここでは銀行登録印が必要でした。
ここでも落とし穴がありました。これらの書類は銀行が用意してくれるのですが、アメリカ国内で引っ越しをしたときに住所変更を銀行に届け出ていなかったので、現在の住所と銀行が把握している私の住所に相違がありました。
銀行は私がアメリカに引っ越した当初のカリフォルニアの住所が記載されてありましたが、私は現在の自分の住所を書いて送ったところ、カリフォルニアの古い住所を書かなければいけないと言われ、再度修正して送り直さなければなりませんでした。
委任状も同様で古い住所を書く必要があり修正して再度送り直しました。
これらの書類のやり取りは海外在住だと日本と郵送でのやりとりが発生してくるので時間のかかる作業になります。
3)帰国の必要があるのか?
不動産屋からは帰国の必要はありませんと言われていました。実際に必要なかったと思います。
ところが、私の場合、全然帰国するつもりはなかったのですが、夫の突発的な発案によって(全然この売却とは関係なく)日本に行くことなりました。なんという偶然なのでしょう!
結果、帰国していて良かったということがありました。
まず、銀行の書類は全額返済予定日の10日前くらいに実家の方へ届きました。(銀行は国内の住所へしか郵送物を送ってくれません)
先程も書きましたが、私がアメリカ国内での住所変更を銀行に届け出ていなかったために住所の相違があり、書類を修正して再送する必要があったため、急いで(完済予定日の2日前までに銀行に到着しなければならなかったので)レターパックを使って送り直したという経緯があったので、帰国していて良かったということになります。
当初の予定では、私の印鑑(銀行登録印)を実家へ送付して、実家の父に繰り上げ返済依頼書と委任状を代筆してもらう予定でしたが、銀行が代筆をNGとしたためそれはできませんでした。それも帰国していて良かった点です。
偶然が重なり結果、帰国していて良かったことになります。
帰国はしていたものの、完済の立会などには行っておらず実際には不動産屋にも司法書士にも銀行にも行っておらず誰とも顔を合わさずに電話とメールのやりとりだけで売却を済ませることができました。
電話でのやりとりも必要だったのでやはり帰国していて良かったと思います。
次回は「三為(さんため)契約」について書こうと思います。
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